星新一の娘の星マリナ氏が、盗作じゃないかと訴えたことで話題になった「イキガミ」。映画が面白いという話を聞いたので、見てきました。
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国家の繁栄のため・国民に生命の尊さを教えるために、1000人に1人の確率で若者の命を奪う「国家繁栄維持法」が施行されている日本。選ばれた若者に死亡予告書(通称「イキガミ」)を配達する主人公は、最後の1日を精一杯生きる若者達を目にする。
っていう設定の現実感の無さをいかに克服するかが、この映画の鍵だったんだと思う。冒頭から度々登場する監視カメラの映像、「思想犯」、レストランでのイキガミを目にしたウェイターの反応、そういったものが、リアリティを演出している。
とはいえ、正直、一歩足りない印象を受ける。死亡予告なんて受け取ったら、自暴自棄になる人が続出するんじゃないかと思うし、だったら死亡予告無しで殺した方が合理的だ、などと思ってしまう。そもそも、若者を殺して、命の尊さが学べるとは思えない。そんな単純なことに異議を唱えられないほどの超監視国家だと言いたいのだろうか。
設定はともかく、人間ドラマは良かった。24時間しか生きられないとしたら、何をするか。ありきたりなテーマながら、ちょっと泣けるエピソードに仕立てられていて、面白かった。
細かいことは考えずに、軽く泣きたいときに見るのがいいかもしれない。
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盗作問題については、結論から言うと、盗作ではないということになる、と感じました。設定やらなんやらを(正しい意味で)インスパイヤしたのは間違いないと思いますが、そこから先の人間ドラマはオリジナルとは違う世界を構築しています。
星新一の「生活維持省」を読んだことのない人にはオススメです。
■映画「イキガミ」オフィシャルサイト