唐突だが、私には、嫌なこと・面倒なことを先送りする悪癖がある。締め切りが設定されていない限りいつまでも先延ばししようとするし、締め切りが設定されているものでも、なかなか重い腰が上がらない。非常によろしくない。
嫌なこと・面倒なことを先送りするのはなぜか、よくよく脳の活動を監視してみると、原因は、思考停止にあるようだ。つまり、嫌なこと・面倒なことに直面すると、思考を停止して、それ以上考えて嫌な気分に陥るのを回避している。
さらに突き詰めてみると、感情を殺すための思考停止機能を子供の時分に作ったのが、バグとなって根付いたもののようだ。もともとは「嫌だけど(思考を停止して)やらなきゃ」という真面目な(しかし不健全な)機能が、長い年月を経て、「嫌だけど(思考を停止して)いいや、先送りしちゃえ」に変質してしまったようだ。随分と不真面目になったものであるw
とはいえ、嫌なことを先送りしていては、効率良く働くことができない。いかにやりたい仕事をしているとはいえ、面倒な・嫌な仕事も多い。経理とか税務とか。
というわけで、思考停止を解除する機能を実装する。
- 「嫌なこと・面倒なことによる思考停止」にフック
- トリガーは「嫌だな、面倒だな」という感情
- トリガーの後、思考停止に陥っていたら、機能をアクティベートする
- 思考停止を解除した後、なぜ嫌なのか、なにが嫌なのか、なぜ面倒なのか、を考える
思考停止に陥るのは、それが嫌だから=脳にとっての報酬が無いからである。そこで、思考停止を解除したときの報酬を定義する。前回の記事で書いた「瞑想の境地のイミテーション」も併せて用いることにする。
- 規律に従うのは喜ばしいという感情
- 「道徳心」や「規範意識」の基になっている感情である。この感情を表現する適切な言葉があるような気がするが、思いつかない。
- 作業効率が上がる ⇒ 時間的な節約になる
- 齢を重ねて、残り時間を気にするようになった私には有効な報酬である
- 瞑想の境地で得られる快感のイミテーション
機能の実装は非常に上手くいった。3週間ほど試しているが、有効に機能している。嫌なことに直面しても先送りせず淡々とこなす事ができるようになった。作業効率も上がったのではないだろうか。
一方で、思わぬ副作用もあった。過去のつらい思い出・嫌な思い出など、トラウマになっている記憶が呼び起こされたときに起こる思考停止をも解除してしまうようになった。嫌だな、という感情が想起された後に思考停止に陥る、というのが共通しているからであろう。幸い、私も長く生き、トラウマとなっている記憶を受け止め、適切に消化できるほどには大人になっていたため、事なきを得たが、一歩間違えば精神に思い負担を強いることになっていたかもしれない。
思考停止という機能は、自己防衛のための機能であって、人間の脳機能の根幹に関わる「カーネル」の一部である。カーネルの機能を上書きすると、様々な局面に影響が現れるということであろう。ブレインハックで、根幹的な機能を書き換える場合には、副作用の可能性を慎重に検討しなければならない、という教訓となった。
余談だが、報酬を定義する上で、神様を信じていると非常に楽である。神の愛に触れるというのは、もっとも安易で強固な報酬となりうるからである。ただし、神様とケンカすると全部無効化されるという脆弱性はある。私は神を必要としていないので、そういった類の報酬を用いることができない。
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