4台あるエンジンのうち3台が故障し、地球への帰還が危ぶまれていた日本の小惑星探査機「はやぶさ」について、JAXAは19日、故障のため停止していた2台のエンジンを組み合わせることで推力を得られるようになったと発表した。奇跡のニコイチ! 万が一に備えて、限られた重量の中で、ダイオードを1個追加しておいたが故の奇跡。太陽に近かったため、発電量を確保できたのも幸運だった。来年の帰還に向けて運用を再開する。来年の帰還を見送ると、次は2013年の帰還となる。
■JAXA|小惑星探査機「はやぶさ」の帰還運用の再開について
胸が熱くなるね。はやぶさチームの執念を思うと涙が出てくる。
イオンエンジンは、イオンを発生させることで-の電荷を帯びるため、電子を放出しなければならない(放出しないと、イオンが戻ってきてしまって推力が得られなくなる)。通常は、1つのエンジンの中で、イオンの放出と電子の放出の両方を行う。はやぶさのμ10エンジンもそうなっているが、万が一に備え、電流を他のエンジンに回すことができるような回路にしておいたことで、ニコイチが実現できた。
■はやぶさリンク:はやぶさ、帰還に向けてイオンエンジン再起動: 松浦晋也のL/D
記者会見の模様を松浦先生がまとめていた。
> 朝日 計画にかかったこれまでのコストを知りたい。
> 川口 ここまで打ち上げや運用費用も含めて計画遂行の総額は約210億円。事業仕分けされないようにしなければいけない。運用費は年1億円程度なので、3年伸びると3億増える。
朝日、良い質問だ。はやぶさは、小惑星探査機としては考えられない低予算で打ち上げられ、ぎりぎりの運用費で数々のトラブルに対処してきた。そこで得られた知見は計り知れない。
・・・と思ったら、
◆「はやぶさ」地球帰還に望み 停止中のエンジン再利用(朝日)
低予算だってことに触れてない! 朝日ェ・・・
-- 他の各メディアの報道
◆探査機「はやぶさ」、奇跡の復活...予定通り帰還へ
◆小惑星探査機:はやぶさ復旧、地球帰還目指す
◆エンジン停止の小惑星探査機「はやぶさ」 - 再び地球を目指して運用を再開
■小惑星探査機「はやぶさ」、帰還運用再開
■小惑星探査機「はやぶさ」、平成22年6月の帰還に向けた運用を再開
運用再開を喜びたい。はやぶさチームの方々に敬意を表したい。無事、地球に帰還できることを祈る。
-- おまけ
松浦先生と野尻先生がtwitterで議論してたので。
■Togetter(トゥギャッター) - まとめ「はやぶさの話題から宇宙科学議論」
はやぶさの知見が継承されない現状の組織に対する問題提起。興味深い。
事業仕分けで科学技術予算を削るのはよいけど、人的資源や知見を継承するだけの予算は最低限確保しておかなきゃいけない。宇宙開発がムダかといえば、確かに、10年後の未来だけを考えればムダなんだけど、アメリカ大陸を発見してたバイキングの知見が継承されなかった故に、アメリカ大陸がコロンブスに再々発見されるまでに数百年を(ヨーロッパ人が)ムダにしたことも忘れてはいけない。
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